皆さまのお陰をもちまして「2024年後期工房展(三十周年記念)」が無事終了いたしました。
会場にご来訪いただいた方々、SNSなどで広報してくださった方々に、深く御礼申し上げます。
三十周年の節目という事でお忙しいなかいらして下さった方も多く、久々にお会い出来た方もいらして、大変嬉しく思いました。
「考えてみれば、私たち、もう随分と長い付き合いですよね〜」という会話が出てくる程、長期に渡って私と私の工房の制作姿勢、考え、作品を受け止めて下さる方々がいらっしゃる事に、本当に感謝の言葉もありません。
私と当工房は、三十年前から、どこにも所属がなく、メディアに取り上げられる事が殆ど無い状態で、コツコツと染色作品や絵画作品をつくり販売し、時に他所では出来なかったという事でいただく加工仕事をして、どうにか今まで生きながらえて来ました。それは、信用も知名度も無い私のものであっても作品を正当に評価し、受け止めて下さった方々があっての事です。
私は「新しい創作は、つくり手だけでは成立しない。新しい創作を受け止める人がいて初めて成立する。人間は社会的動物だからである」と考えておりますが、本当にそれを実感します。新しい創作を受け止める人もまた創作者なのです。
正直、現在も「ああ、ウチも来月で終わるかな…」という厳しい状況で制作し、生活しています。特にコロナ禍からは今までに無いぐらいに厳しい状況です。皆さまからの折角のご支援を私の力不足で活かせていない事をいつも感じています。しかし後進には、少しでも整地した環境を用意し、そこでより良い制作をしてもらいたいという願いはいつも持ち、そのための現実的な活動を続けています。私はどんな苦境にあっても自分が預かった種籾を自ら食べてしまう事はしたくないのです。(私は世襲ではありませんが、日本文化から受けた恩恵は増やして後の人たちに渡さなければなりません)
三十年は苦楽を織り交ぜた毎日で、あっという間に過ぎました。恐らく、これから先もあっという間に過ぎてしまうのだと思います。私が今まで制作した作品数は殆どの人たちが驚く程膨大ですが、しかしまだ過程、渦中にいる感じしかありません。
しかし、残り時間はそれ程は無いでしょう。今、私は59歳ですが(2024年時)頭と体を、ある程度精度を落さず動かせる状態…となると私に残されているのはあと10年、長くて15年ぐらいと思っています。もちろん、もっと長くやりたいのですが。
あと10年で何が出来るか、と良く考え、整理し、制作を総括するような事をしてみたいとも思いますが、日々の生活に追われ、何も持たない私には私の手の届く範囲の事をただ行う事しか出来ません。
しかし、今まで通り制作に納得を感じながら作品づくりをして行きたい、そして、より一層そういうもの“だけ”をこれからは残して行きたいと思っております。
「出来るだけ良いコンディションで長く制作をしたい」という事が私の目標であり、欲望です…それには若い人たちに「あのジジイ、まだやってんのか!」と呆れられる程、長生きしなければなりませんね。
最後に、改めて、皆さまのご支援に感謝を述べたいと思います。
今まで、本当にありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
フォリア 仁平幸春