フォリア工房の作品価格を表示するようにいたしました

上記の通り、2023年4月より、フォリアは自工房で制作された作品を公開する際、販売価格を表示しております。

フォリアの公開価格が基準の価格になります。

ただし小売価格を拘束するようなものでは無いので、小売店さまの表示価格は、下記の事情で多少上下する可能性があります。

1)例えば、ポイントが付いて実質割引になる、逆に少し割増になるけどもその分何かしらのサービスが付くなど、そのお店の事情により、価格に多少の上下が出る可能性はあります。

2)「小売店さまのオリジナル作品をフォリアが制作した場合」については、小売店さまのお考えになる価格が付いております。

3)2019年以前の作品で、何かしらの流通を通っている場合は価格が違う場合もあります(フォリアはそこにはタッチ出来ない事による)

しかし、

基本的に、2023年4月以降に小売店さまで販売されているフォリア作品は、フォリアで公開している価格でご購入出来ます。

ご不明な点は、その小売店さま、あるいはこちらよりフォリアへお問い合わせ下さい。

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以下の理由により、価格を公開する事になりました

元々市場原理の働きの範囲でモノの価格が決まる市場において、力のあるメーカーが自社製品の価格や価値が落ちないように自社が設定する販売価格を販売店に強制すれば独占禁止法に抵触する恐れがありますが、これは以下に説明するような呉服業界の特殊な商習慣によって起こる被害からの顧客保護と、弱い立場にある制作者保護の観点からの行動です。また、小規模生産体制の工芸作品では作品というよりも製品としての意味合いが強いものであっても制作者が自作を売る際には自作の価格を自ら設定する慣習があるのにも関わらず、その価格を特殊な市場環境により自ら設定出来ないのは制作と創作品販売の自主性を阻害するものであり、それを解消する必要があるという判断によります。

呉服業界では、その会社が全て自社が責任を背負って開発したオリジナル商品ではなく、作家のオリジナル作品であっても、その価格に制作者の意見は反映されません。委託作品であってもです。

ですので、全く同じ着物や帯でも販売するお店によって、基準になる価格の倍から3倍、流通も関わって来ると時に5倍程も価格が変わってしまう事もあります。

業界の方々は「呉服業界ではそれが当たり前」という事で特にそのような事が起こる事に問題を感じておりません・・・そういう事は問題だと私が主張すると「業界を知らないシロウトを観る目」で観られたものです。悪習であっても、それに染まるのが業界人になる事・・・私はその様子を観て業界の方々の感覚は一般とズレ過ぎていると思っておりました。

しかも、業者の方々がお客さまから「どうしてこんなに価格が高いのか」と問われると「作家が高い価格を付けるから仕方が無いのです・・・」と作り手のせいにしているのを私は何度も目撃しております・・・その「異常な価格」「売る場所によって何倍も違う価格」を制作した作家が付けたと思われてしまう事は本当に心外でした。作り手の信用が酷く毀損されてしまうからです。

お客さまがその「異常な価格」をご覧になり「こんなに高い価格で売れたら生活は安泰だねぇ」と皮肉を言われた事は何度もあります。(かように作り手がその価格を決めていると思われてしまっているのです)もちろん高く販売された分、作り手に多く入る事は絶対にありません・・・

フォリアは工房運営のスタイルから一般のお客様と直接触れ合う機会が多く、一般のお客さまから色々なご意見を伺います。そのなかで100%の確率で皆さまがおっしゃっていた、呉服を買うのにあたって怖い、信用出来ないと感じる大きな理由のひとつは、やはり「売られているお店によって価格が違い過ぎる事」でした。

価格に関連する事で「異常な値引きの問題」もあります。

「時に表示価格から異常なまでの値引きをするけども・・・じゃあ、私は黙っていたらあの高い価格で買わされていたわけ?買ってくれるなら色々なオマケを付けると言うけども、それでお店はやって行けるの?作っている人たちはあんな風に売られていてやって行けるの?昔のお客さんは値引きすれば何でも喜んだのかも知れないけど、私は、じゃあその最初につけていた価格は何だったの?と思ってしまう。ああいうのは不信感を持ってしまう」

・・・というご意見も、同じぐらいありました。

現代に、和装に限らず手作りの伝統工芸を買われる方々は「自分が支払ったお金が作り手や関係者の方々にキチンと渡っているのか?」を気にされる方が多く、しかもその数が増えています。そのような文化にご理解のあるお客さま方に「ここで支払うお金がちゃんと文化的に有益に使われているのか疑問・・・」と感じてさせてしまっているのは大きな問題ではないでしょうか。

「どこで買っても殆ど同じ価格であるなら安心出来る・・・それが社会の当たり前なのに、どうして呉服はそうではないのか?そうしないのか?」

・・・当然のご意見です。私も強く賛同いたします。

呉服の業界には呉服の業界の事情があって、独自の商習慣が出来、慣習になったのは私も承知しています。しかし、時代がもうそれを許さないのではないでしょうか。

和装制作の世界に長く席を置く私であるのに、ただ「業界の悪しき慣習」に文句を言っていても未来は何も変わりません。お客さまがお持ちの呉服業界へのご不審を取り除き信用いただく事はもちろん、和装制作の後進のために道を整備するのは先達の責任ですから、現状を改善するための具体的行動が必要です・・・

・・・というわけで、私は「当事者として事を起こす事にしました。

4年程前から(2019年)、お取引先さまへ「小売価格は、こちらで設定したもので販売していただきたい」というお知らせをし、現在はこちらの姿勢に賛同して下さる方とのみ、お取引していただいております。

それからすぐにフォリアで価格を公開するのは、お取引先さまのご都合もありますので「2023年4月からフォリアは価格を公開する」という事になりました。

制作側として・・・工房としては、かなりのリスクを背負う事になりますが、しかし古い慣習は変える時期に来たと私は考えております。

自分の手の届く範囲から具体的に着手して行こうと思います。そのひとつが、この「販売価格の公開」です。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

フォリア代表 仁平幸春

注1:2023年4月以前のInstagramの作品集アカウントでは価格は表示されておりません

注2:販売価格は、材料費・外注費その他経費の変動により、変更される場合があります

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